某メーカー様が販売する原材料検査装置は、以前、PCを用いたFFT解析により、原材料を音で診断していました。しかし、粉塵が多い過酷な現場環境下で、短期間でPCが故障し、生産ラインが停止してしまうことがありました。多い時には月に数件PC故障の報告があり、その都度現場に急行して装置の交換をしていました。

当社は、この装置をマイコン基板に置き換えることで、以下の課題解決を実現しました。

開発した基板

高信頼性: マイコンの採用により、過酷な環境下でも安定稼働。故障が全くなくなり、原材料検査装置の不具合による生産ラインの停止を完全に防止しました。
高速化: PCと比べて計算パワーに劣るマイコンを使用するため、アルゴリズムの最適化とコンパイラの設定により、解析時間を大幅に短縮。タクトタイムをクリアし、高速生産設備にも対応。
省スペース化: 発熱の少ないマイコン基板を開発し、ファンレスを実現。装置の設置スペースを削減。見た目もすっきりしました。
低コスト化: 現場対応の時間を大幅に削減。後ろ向きな現場対応をなくして無駄な経費を削減。

具体的には、マルチタスクOS上で、7インチ画面表示、PLCとの通信、ジッタの無い高精度な62.5KSPS AD変換による音声取得、そしてFFT解析をワンチップのCPUで処理するシステムを開発
しました。


お客様からは、「以前は、頻繁な故障報告に悩まされていましたが、この基板に切り替えてからは、故障が全くなくなり、非常に楽になりました。」と、大変喜んでいただいています。

当社は、長年の組み込みシステム開発経験と、独自のファームウェア開発能力を活かし、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションを提供します。特に、過酷な環境下での信頼性と、高速な処理性能には自信があります。

今後も、お客様のニーズに合わせた更なる機能拡張や、AI技術との融合による高度な診断システムの開発を進めてまいります。

御社の装置のマイコン化も、ぜひご相談ください。

画面表示<一部>

用語解説
FFT解析: フーリエ変換を用いて、複雑な波形を複数の単純な波の重ね合わせとして表現する手法
マルチタスクOS: 複数のタスクを並行して処理できるOS
PLC: プログラマブルロジックコントローラ
ジッタ:jitter デジタル信号のタイミングが揺らぐこと。ジッタが大きくなると正確な計測ができなくなる。