ソフトウェア開発やシステム開発に興味がある方は、ラズベリーパイという言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。ラズベリーパイは、価格・機能性に大きなメリットがあり、多様な活用方法が期待できる小型のコンピューターです。
本記事では、そんなラズベリーパイついての特徴や、なにができるのかについて具体的に解説します。
目次
ラズベリーパイとは?
ラズベリーパイ、通称「ラズパイ」とは、イギリスのラズベリーパイ財団が開発した、クレジットカードサイズの小型コンピューターです。この名前の由来は、伝統的なコンピューター関連の製品名として果物の名前が使われることが多いため、その伝統を受け継いで「ラズベリー」という名前がつけられました。「パイ」はPythonプログラミング言語の略であり、このコンピューターはPythonでのプログラミングをサポートしています。
ラズパイは、低価格でありながらも高性能で、教育現場やDIYの分野で非常に人気があります。コンピューターサイエンスやプログラミングの初学者にとっては、手軽に実験や学習を行うためのツールとして利用されています。たとえば、初心者がラズパイを使ってLEDを点灯させる実験を行うなど、プログラミングの基本的な概念やハードウェアの動作原理を学ぶことに役立ちます。
ラズパイはその小ささと拡張性の高さから、さまざまなプロジェクトや製品のプロトタイピングにも使用されています。スマートホームの自動化システムや、天気予報を表示するデジタルサイネージ、さらにはAIを活用した顔認識システムなど、幅広い用途で活躍しています。このように、ラズベリーパイはその多様性とアクセスしやすさから、多くの人々に愛されているコンピューターとなっています。
使われているプログラミング言語
ラズベリーパイは、その小さなサイズと低コストながらも、多様なプログラミング言語での開発が可能です。具体的には、Python、Java、C、C++、Perl、Lua、Ruby、Scratchなど、多岐にわたる言語が使用されています。とくにPythonは、ラズベリーパイでの開発において頻繁に使用されるほか、上記以外の言語も活用できます。標準でサポートされている言語のほかにも、追加のインストールを行うことで、さらに多くのプログラミング言語を使用することが可能です。このような多様性が、ラズベリーパイの魅力のひとつです。
実装されているチップ類
ラズベリーパイの中心となるのは、そのチップです。チップは、ARMプロセッサを核としており、Raspberry Pi 4 Model Bでは、Broadcom BCM2711というquad-core Cortex-A72 (ARM v8) 64-bit SoCが搭載されています。このチップは1.5GHzのクロック速度を持ち、メモリーとしては、2GB、4GB、8GBのバリエーションが存在します。
このチップはラズベリーパイの「脳」のようなものです。私たちの脳がさまざまな情報を処理し、考えたり行動したりするのと同じように、このチップが計算やデータの処理を行うことで、ラズベリーパイが機能します。
Raspberry Piのモデルによっては、異なるチップが搭載されていることもあります。たとえば、Raspberry Pi Zero 2 Wでは、Broadcom BCM2710A1というARM Cortex-A53を核とするクアッドコアのチップが搭載されており、1GHzのクロック速度を持っています。
このように、ラズベリーパイのモデルやバージョンによって、搭載されているチップの種類や性能が異なるため、用途や必要な性能に応じて選択する必要があるでしょう。
ラズベリーパイを動作させるために必要な周辺機器
ラズベリーパイを始めるためには、いくつかの周辺機器が必要です。ここではラズベリーパイの動作に必要な周辺機器を紹介します。
■キーボード・マウス
ラズベリーパイには、USBキーボードとマウスが接続できます。無線のキーボードやマウスも、既にペアリングされていれば使用可能です。
■Raspbian(ラズビアン)をインストールしたマイクロSDカード
ラズベリーパイは、マイクロSDカードを使用してOSを動作させます。初めての起動時には、設定ウィザードが実行されるため、国際設定やタイムゾーン情報などの初期設定を行います。
■ディスプレイ・ディスプレイ用ケーブル
ラズベリーパイにはHDMIポートが付いており、これを使用してモニターやテレビに接続できます。ラズベリーパイ4にはマイクロHDMIコネクタが2つ付いており、4Kモニターに接続することも可能です。
■USB電源アダプタ・マイクロUSBケーブル
ラズベリーパイの動作には、電源供給が必要です。ラズベリーパイ専用の電源アダプタは、急激な電流の変動にも関わらず、一貫して+5.1Vを供給するように設計されています。ラズベリーパイ4 Model Bやラズベリーパイ400では、タイプCの電源アダプタに対応しており、それ以外のモデルでは、マイクロUSB電源アダプタを使用します。
ラズベリーパイは何に活用されているのか?
ラズベリーパイは、その小さなサイズと低価格にもかかわらず、多様な機能を持つコンピューターです。この特性により、ラズベリーパイはさまざまな場面で活用されています。
まず、ラズベリーパイの入門としてよく行われるのが、LEDの点灯制御です。ラズベリーパイに接続したセンサーを使用して、部屋の明るさや温度を検知し、それに応じてLEDの明るさや色を変えるといったことができます。このような仕組みを利用して、部屋の雰囲気を変える電飾を制作する人もいます。
ラズベリーパイには専用のカメラモジュールがあり、これを利用することでオリジナルのデジタルカメラを作成することも可能です。小型のモニターと組み合わせれば、デジタルフォトフレームとして利用することもできるでしょう。このカメラモジュールをロボットに取り付け、スマートフォンやタブレットを使ってロボットの動きを遠隔操作するといった応用も考えられます。
ラズベリーパイの特徴
ラズベリーパイが搭載しているCPUは非常にパワフルです。この特性が、さまざまな組み込みプロジェクトやIoTデバイスの中核として活用されています。ラズベリーパイのCPUはLinuxベースのオペレーティングシステム上で動作するため、インターネットへの接続や高度なプログラミングが可能な点も特徴のひとつです。
これまで、特定のタスクやプロジェクトのためのモジュールは、自分で開発するか高価な既製のモジュールを購入する必要がありました。さらに、このモジュールを適切に動作させるためには、専門的な知識や技術が必要でした。
しかし、ラズベリーパイの登場により、これらの高度なタスクやプロジェクトを手のひらサイズのデバイスで、そして非常に低いコストで実現することが可能となったのです。
とはいえ、ラズベリーパイの利便性と取り扱いの容易さに魅了されるあまり、ハードウェアの知識が不足している場合や、サンプルプログラムをそのまま使用して製品をリリースすると、実際の運用環境で予期しないトラブルが発生する可能性があります。そのため、専門的な知識を持つ組み込み開発業者に監修やアドバイスを求めることが、安全で効果的な製品開発のためには必要となるでしょう。
まとめ
本記事では、ラズベリーパイについてその特徴や活用事例について紹介しました。ラズベリーパイは安価かつ高性能な小型コンピューターであり、幅広い分野で活用されています。利便性の高さも特徴ですが、ラズベリーパイを最大限に使いこなすためには、専門知識を持つ組み込み開発業者のアドバイスを受けることをおすすめします。
令和デバイス株式会社は、組み込み開発を得意とする受託開発専門企業です。ラズベリーパイをはじめ、電子回路の設計、IoT端末の製作など、さまざまなご要望にお応えしております。豊富な開発実績があり、90%以上のお客様からリピートをいただいております。ソフトウェア開発でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。