Arduinoは、初心者でも簡単にプログラミングでき、基本的な機能の組み合わせで簡単に動作させられる機能性が特徴のマイコンボードです。本記事では、Arduinoの特徴や活用方法、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
目次
Arduinoとは?
Arduinoは、イタリア発のマイコンボードで、3,000円台など手頃な価格で購入できることから、電子工作やプログラミングの入門者に非常に人気のあるマイコンボードです。Arduinoは、初心者でも簡単に電子工作を始められるように設計されており、USBポートを介して直接PCに接続してプログラムを書き込めます。
シンプルな操作性と発展性から、学生だけでなく、電子工作を趣味とする個人や企業にも広く活用されています。初心者でもスムーズに電子工作を始められる点は、とくに大きな魅力といえるでしょう。
- LEDキューブ
LEDを使用して、Arduinoで点灯パターンを制御することで、美しいイルミネーションを実現できます。
- 障害物を回避する車
Arduinoを車に搭載すれば、前方の超音波センサーで障害物までの距離を測定し、障害物を回避するように動作されることもできます。
- タッチフリーの消毒用ディスペンサー
超音波センサーを使用して手の有無を検知し、モーターを動かして消毒液を出します。
- 電子ドラム
ピエゾ素子(圧電素子)を使用して衝撃を検出し、Arduinoで音を出せます。
- ドローン製作
Arduinoと加速度センサー、Bluetoothモジュールを使用して、ドローンの傾きを検知し、水平に保つように制御させられます。
- 温度計測
温度センサーを使用して取得した温度情報をLCDに表示させることもできます。
Arduinoを使用すれば、さまざまなアイディアを形にできます。これらのプロジェクトは、基本的な機能の組み合わせによって実現されているため、初心者の方は、基本的な機能を学習することから始めるとよいでしょう。
Arduinoを使うメリット
Arduinoは電子工作の世界で非常に人気がありますが、その理由は多岐にわたります。ここでは、Arduinoの主なメリットを説明します。
簡単にプログラムの作成ができる
Arduinoは、初心者でも簡単にプログラムの作成が可能です。たとえば、LEDを点滅させる基本的な動作など、繰り返しの動作を得意としています。これは、ドアの開閉のような簡単な繰り返し動作のIoT制作にも適しています。
短時間で設計が可能
Arduinoはオープンソースのハードウェアであり、設計情報が公開されているため、自分自身でArduino本体を自作することも可能です。これにより、短時間で設計やカスタマイズが可能となります。
C言語に近く理解がしやすい
Arduinoで使用されるプログラミング言語は、C++に似たArduino言語です。C言語の知識がある人にとっては、Arduinoのプログラミングは非常に理解しやすいでしょう。
機能の追加が容易
Arduinoには、機能を追加するための「シールド」と呼ばれる拡張パーツが多数存在します。シールドを利用すれば、ArduinoにWi-Fi機能を追加したり、温度計を作成したりと、さまざまな機能の追加が容易になります。
これらのメリットから、Arduinoは電子工作を始める初心者から、経験豊富なエンジニアまで、幅広い層に支持されています。
Arduinoを使うデメリット
Arduinoは電子工作やプログラミングの入門者に人気がある一方で、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、Arduinoの主なデメリットを詳しく説明します。
マルチタスクに行うことができない
Arduinoは基本的に逐次処理を行います。逐次処理とは、ひとつのタスクが終わった後に次のタスクが始まる処理方法を指します。したがって、完全な同時処理を行うことはできません。たとえば、音楽を再生しながら別のセンサーのデータを読み取るといったマルチタスク処理は、Arduinoだけでは難しいとされています。ただし、いくつかの処理の周期を短くして交互に実施することで、実質的にマルチタスクを行うことはできるでしょう。
OSを持っていない
Arduinoは、専用のOSを持たない特徴があります。Arduinoで動くプログラムは、Arduinoのハードウェアへの直接的なインタラクションを行います。この性質上、ひとつのタスクやプロジェクトに対して、専用のプログラムをArduinoに書き込み、それを実行する形になります。さらに、Arduinoのメモリは限られており、大容量のOSを搭載することは困難です。一部の軽量なOSを導入することは可能ですが、一般的なOSの導入は難しいといえます。
ArduinoとRaspberry Piとの違いは?
Raspberry PiとArduinoの最も大きな違いは「OSの有無」です。Raspberry Piには、LinuxというOSが搭載されています。一方、ArduinoにはOSが搭載されていません。Raspberry Piは「シングルボードコンピューター」とも称され、Bluetooth、Ethernet、Wi-Fiなどのネットワーク機能も完備されています。これに対して、ArduinoはOSが存在しないため、ほかのPCと接続して、C/C++をベースに構築された独自のArduino言語で開発を進めることになります。
ArduinoはLEDの制御、リアルタイム検知など、シンプルでハードウェア寄りのタスクをさせることに向いているといわれています。たとえば、設備の稼働状況を示すシグナルタワーの光をセンシングして稼働状況を常時取得するような処理にはArduinoが適しています。
Arduinoを使う際の注意点
Arduinoには独特の用語が存在します。たとえば、Arduinoでのプログラムは「スケッチ」と呼ばれ、接続して機能を拡張できる拡張ボードは「シールド」と呼ばれます。これらの用語は、Arduinoの公式サイトや参考書、オンラインの情報源で頻繁に使用されるため、初めてArduinoを手にする方は、これらの用語をしっかりと把握しておくことが大切です。
とくに、初めてのプロジェクトを始める前に、これらの基本的な用語を学ぶことで、スムーズに開発を進められるでしょう。また、Arduino本体だけでは、実際の開発は進められません。Arduinoを使用してIoT機器の開発を行うためには、まずプログラミングを行うPCが必要です。そして、そのPCのOSに合わせて、Arduinoの統合開発環境(IDE)を公式サイトからダウンロードする必要があります。
さらに、実際の機器をセンシングする場合や、外部のデバイスとの接続を行う場合には、ジャンパワイヤや抵抗などの部品も必要です。これらの部品は、Arduinoのスターターキットに含まれていることもありますが、自分のプロジェクトに合わせて必要な部品を選んで購入することになるでしょう。
まとめ
Arduinoは、その手軽さとシンプルさから、多くの人々に愛されています。初心者でも短時間でプログラムを作成し、実際のデバイスを動かすことができるのは、Arduinoの大きな魅力です。精度やタイミングが極端に厳しい要件がない場合、Arduinoだけで十分に機能するプロトタイプや実用的な製品を作り上げられるでしょう。
しかし、その一方で、Arduinoの信頼性には限界があります。長時間の連続運用や、厳しい環境下での使用を想定する場合、その耐久性や安定性に疑問が生じることも少なくありません。市場に販売する製品としての使用を考える場合、Arduinoをそのまま使用するのではなく、専用の基板を設計し、より高い信頼性と品質を確保することをおすすめします。
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