■無線通信不具合事例
実際にフィールドで起きた通信不良について、特徴的な事例を報告します。
■2.4GHz帯の電波の基本的性質
最初に2.4GHz帯の電波の特性を説明します。2.4GHz帯の電波の特性として以下のことがあげられます。
- 水分を透過しない。
- 直線性が高く、反射しやすい。回り込みはしない。
- マルチパスがおきやすい
これらの特性をよく理解したうえで無線機器を設置してください。通常2.4GHzの無線は見通しできるように設置します。
■季節要因:夏になったら葉が生えて・・
【現象】
環境計測のシステム。冬に設置しました。このときには良好に通信。その後、夏場に通信不良が発生。
【原因】
夏になり葉が生えてきた木のために電波がさえぎられて電波が通りにくくなり、通信不良が起こりました。
■稼働中はトラックにさえぎられ
【現象】
I/O収集のシステム。物流倉庫にて、稼動していない夜の間に調整を行いました。このときは良好に通信できていましたが、いざ稼動となると通信できなくなるときが発生しました。
【原因】
運用時は敷地内をトラックが移動しますが、ちょうどアンテナ間を結ぶ直線上に荷台が遮る形になるところでトラックが停車するポイントがあることがわかりました。
【対策】
無線機の中継ルートを何パターンか動的に変更できるようなシステムだったため、トラックの荷台に遮られない中継ルートを作り、通信不良が起こったらこの中継ルートにすることにしました。
■荷物の置き方に問題が
【現象】
ビールの倉庫にて。フォークリフト端末の無線機としての使用。今までほぼ倉庫の全域で良好に通信ができたが突然あるエリアだけ通信しにくくなりました。
【原因】
荷物を積み上げた際にちょうどアクセスポイントの設置ポイントだったため、電波が遮られてしまっていました。
【対策】
荷物をずらしたところ通信が良好になりました。アクセスポイントがあるところ作業者に周知しました。
■強力な無線機の登場
【現象】
コンテナのロケーション管理システム。「ここ数日間無線で通信できないポイントがある。」とお客様から相談を受けました。
【原因】
ちょうど通信をしている周波数で別の無線システムが稼動しているのがわかりました。この電波が納入したシステムの通信の妨げとなっていました。
無線LANのように電波出力に時間的な間隔あれば何とか通信できたと思われますが、ほぼ途切れることなく電波を出しているタイプの無線機のために成功確率が10%以下となっていました。
おそらく安価なワイヤレス防犯カメラのたぐいかと思われます。
【対策】
本来であれば電波を出している無線機を特定して、周波数の設定を変えてもらうのが筋ですが、その無線機を探し出すことができなかったことと、お客様が復旧を急がれていたので、こちら側の通信周波数を変更しました。2.4GHz帯は早い者勝ちとよく言われますが、実際には強いもの勝ちであることも多いのです。