R8Cマイコンは三菱と日立が統合して初めてのマイコン製品シリーズです。
第一世代のR8C/1XシリーズはM16Cシリーズの簡易版ワンチップマイコンという位置づけでした。
このころは開発環境が三菱のものがそのまま引き継がれていました。
20Pinというパッケージは当時の日本のマイコンとしては思い切った小ピン設計です。
このときには、トランジスタ技術にR8C付録基板がついたり、マイコン初心者にも分かりやすい解説書も出版され、アマチュアにも意識した販売戦略をとっていたと思います。
デバッガもE8のほかに三菱時代の低価格なデバッガも使えました。
次のR8C/2xシリーズはタイマなどのペリフェラルがH8シリーズのものになりました。
ちょうどM16とH8のいいとこどりをしたようなイメージとなります。
H8Tinyシリーズよりも安価な価格設定となっています。アプリケーションによっては、リセット回路や水晶振動子などの周辺回路が無くてもマイコン回路が構築できるため、全体として費用を抑えることができます。
さらに機能を充実して新たに R8C/3xシリーズに引き継がれていきます。
◆R8Cの特徴
・安価
・H8,SHと比べて動作温度範囲が広い。
・発振回路を内蔵している。万が一外部の発振子が故障しても、内部の発振回路で動作し続けることができる。
・リセット回路内蔵(外付けも可能)
・LEDを駆動できるような大電流ポート
・安価なデバッグ環境
・正規のコンパイラが実質無料で入手(64Kbyteの制限あり)
◆設計の注意事項
・デバッガを使用して、デバッグをする場合には、SCI1は使えません。(I/Oポートとしては使える)
・入力にしか設定できないポートがある。
・大電流ポートとそうでないポートがある。(LEDを直接駆動する場合には大電流ポートにします)
・R8C/1xシリーズは終息方向で、新規採用ができない。
◆R8/3xシリーズ 2012/10/11 追記
2xから3xは大きな変更はあまりなく、マイコンの性能をより使いやすくブラッシュアップした印象ですね。ユーザーから寄せられた声を丹念に製品に反映させた印象があります。オンチップオシレータが高精度化され、115k程度の非同期シリアル通信ならば、外付けの水晶振動子なしで実現できます。全体的にコストダウンもはかられ、同じ機能のマイコンでも 3xシリーズの方が2xシリーズよりも安くなっています。
今後の新規採用は 3xシリーズ以降とすべきでしょう。
2010年4月1日。ルネサスとNECが経営統合しました。今後低価格マイコンはRL78シリーズに注力する模様です。R8Cシリーズの今後の展開はあまり期待ができなくなりました。
◆DIPのR8C/M11A,R8C/M12A
14Pinの R8C/M11A
20Pinの R8C/M12A
という DIPタイプのR8Cが販売されています。いままでDIPタイプのR8Cマイコンはサンハヤトが発売するものがあったのですが、ルネサスが発売するというところに意義があります。ホビー用にもお勧めですし、小規模開発にもお勧めなマイコンです。